私が4~5歳くらいの頃だったろう
祖母と二人で 祖母の姉さんの家を訪問したことがあった
姉さんという人は 裁ち台を前に縫い物をしていた
側に 長火鉢があり五徳には小鍋がのっていて
何かが ぐつぐつと煮え それがいい匂いをしていた
昼餉の雑炊をつくっているのだった
祖母とお姉さんは 親しげに話合っていたが
私はその小鍋に意識が集中していた
結局 その雑炊のご馳走に与ることなく 帰宅した
今 雑炊と聞くとその時のことを思い出す
そのお姉さんの顔はおぼろげにしか覚えていないが
雑炊の小鍋の中味は覚えている
ニラ の入った柔らかそうな 醤油をたらしたおじやだった