小路(こみち)のブログ

趣味の絵やその他日々感じたことを綴っています

プロフィール

行動半径

私の祖母は 同じ町内の二丁目から 一丁目に嫁入って来たそうだ 祖母が 生まれた県から 外に出た事は 生涯に四回くらいしか なかったという。 一度目は 十四、五の頃 親族と寺社巡りをした時。 二度目と 三度目は 娘(私の叔母)の結婚で 婿殿の勤務地へ 娘を…

仮の話

夜中目が醒めて なかなか寝付けない 宝くじに当たったことでも夢想して 眠りにつこうと思った 買ってもいないが 3億円当たった事にした さて 誰にあげようか 次々に身内の顔が浮かんだ 我が子にやるのは当然だが 親類のA子には沢山あげたい B子や C男には …

雑炊

私が4~5歳くらいの頃だったろう 祖母と二人で 祖母の姉さんの家を訪問したことがあった 姉さんという人は 裁ち台を前に縫い物をしていた 側に 長火鉢があり五徳には小鍋がのっていて 何かが ぐつぐつと煮え それがいい匂いをしていた 昼餉の雑炊をつくって…

神経痛

坐骨神経痛というものを患ってから 体に関して認識を改めた 体の夫々の部位に無駄なものはない という事 体の各機能が微妙なバランスで働いていること 普通に動けることが どんなに希有で有難い事かを 思い知らされた ウェストから下の下肢が 触るだけで 溜まった電…

名前

このところ テレビ欄に書いてある人の名前が わからない 名前が読めない 勝手に読めるように読む 以前から読みにくい名は多かった 今は 更に増えて増殖していく 名前というものは 簡明なのがよい 誰でも読めるものでないと用をなさない 昔話に (長い名の長助…

ほたる

戦後の食糧難の一時期 父や叔父達は 里山の荒地を借り受け開墾して じゃがいもや さつま芋を植えた 夕方 家族での畑仕事を終えて ささやかな収穫を 手製の箱車に乗せて 坂道を下って来ると 山裾は夕闇につつまれて 湿地の草むらに ほたるが点滅するのが見え…

手のひら

バスの座席に揺られながら ふと思った 私の身体の中で 2~30年前と変わらぬ皮膚を保っているのは 手のひら だけかと それも 指を除いた 手の 平だけ 日々の酷使に耐え それでも休むことなく 作業し続けている 手のひら かつて 私が色白だったことを証明する …

松の葉

100均の封筒コーナーに のし袋に混じって ” 松の葉 ”と表書きした封筒を見つけた ”松の葉” にはちょっとした思い出がある 昭和の三十年頃までは お中元 お歳暮は 必ず相手方の家を訪問して 届けていた 贈答品は 素麺 干物 男物や女物の下駄 などが多かった お盆…

草っぱら

草っぱらに 寝転がるなどしたのは いつが最後だったろう 孫の遠足について行った時か 最初の記憶は 私が小学一年の初めての遠足の時 レンゲ畑の中を 皆んなと転げ回った 女先生もレンゲ草の中に足を投げ出していた グラウンドの片隅の芝生の上に腹ばいになって とり…

せいの丈

病院の身長体重測定器に乗って 目を疑った 身長が5センチも縮んでいる タニタ と表記してあるので 機器が間違っているはずはない 今まで身長の欄には 迷うことなく155センチと書いてきた いつ頃から5センチのサバを読んできたのだろう 物干し竿にハンガーを掛けるとき 脇…

医者

かかりつけ医に ” 近頃は 日替わりで あちらが痛いこちらの具合が悪いという状態です ” と言うと ” 品揃え も増えてきたのですね ” と言われた 過日 どうにも体調不良を感じ 病院に駆け込むと 当直の若い医師が 即座に これは心房細動です と言い即 入院とい…

息子と

独身の息子と親は同居すべきか 晩ごはんに鍋物をする時 息子に肉や魚の良い部分を食べさせようと 取り分けておき 端切れやくずれた部分を私が食べる 洗濯物は全部洗ってやる 食費 光熱費は 貰っているが 超過分も多い そんなつもりでは無かったが こんな昨今…

明日も

近頃 頭脳が冴えて 理解力が増したと思っていたが それは錯覚で 知識が前頭葉に定着する前に 消えてしまい 一週間前に習ったことを思いだすのに苦労している それがカタカナやローマ字の場合は なおさら思いだす取っ掛かりがなくて 右往左往している 頭だけでだめな…

かるた

昭和24~5年頃は 映画かラジオぐらいが娯楽の中心だった 近所に ”百人一首” が飯より好き という変わった小父さんがいて 正月はもとより 季節に関係なく ”かるた取り” のすきな十数人が 暇さえあればその人の家に集まって 技を磨いていた 年齢も様々。 姉と…

昔の暮らしには 燃える火が身近にあった 午後も四時をまわると 十歳前後の私でも 七輪に火を起こすのが 役目のようになっていた ガスも使ってはいたが 飯はかまどで おかずは 七輪で煮炊きしていた 炊事場はセメントを張った土間になっていたので かまどの火が飛…

風呂

私が子供の頃 風呂場でのヒートショックなど 聞いたことが無かった ウチの風呂場は 母屋から離れた小屋の一隅を 板壁で囲った空間に 石炭風呂を置いただけの風呂場だった 天井は一続きのため 温まった空気はすぐ逃げていった 石炭風呂なので ぬるくなると 石炭をく…

山桃

梅雨のころになると 思いだす果物がある 子供の頃 父方の親類の家へ いとこ達と よく出かけていた 親類は山ふところにあり 途中乗り換えの駅があった 単線の列車待ちの間 駅前に並ぶ行商のおばさんの 天秤の荷の中に 紫色に光る山桃(楊梅) を見つけた時はう…

切り抜き

ミニマリストのブログを見ていると ”新聞や雑誌の切り抜きは無駄” という意見があった 私は よく切り抜きをしており カッターは いつも手の届く所にある 何かの記事に 切り抜きたいと思ったら 時を置かず 手で破いてでも切り取るべき とあった そうしないと 何処かへ紛…

もったいない

生来の貧乏性が 未だに抜けずにいる 服の生地を裁つ時 型紙を入れあわせて 布地を無駄なく使うのだが 裏地の方も 隅のほうからキチキチにつめて裁っている あと何度使う事があるか知らないが 裏地の 広く残っている真ん中あたりから ド~ンと使う勇気と言おうか …

ミニマリスト

ミニマリストのブログをよく見る その中に ”ひとの物は断捨離する事はできない” とあった たとえ親子 夫婦であっても 考え方の違う人の物を 勝手に処分したり それを強制する事はできない由 強要する事はミニマリストの目ざす方向とは違うのだそうだ 片付けは手段であって…

更地

ふる里の 実家の近くにある家が取り壊されて 空き地になっていた 子供のころ 何度も遊びに行って 間取りなども知っていた コンクリートの跡など見ると その頃の景色が見えてくる 噴水や鯉のいた池も 埋められ 造作に凝って 高い縁の下まで取り込んで造られて…

親族

法事で親類が集まった 皆 似た顔ばかり 年齢を告げあって 驚く 歳をとると骨格があらわになって よけい似てくる 以前 NHKのサイエンスゼロ で 現代日本人の2割は縄文人の遺伝子を 持っているといっていた 二重まぶたである ウインクができる 皮膚にシミが出来やす…

白内障の手術をした 術後 はじめて見た色彩の鮮やかさは どう表現していいのだろう 瑞々しい透明感というか 本物の色はこれなんだよ と せまってくるような 迫力があった 子供の頃はこんな見え方をしていたのだ とあらためて思う 信号の緑色が 水からすくい…

悔い

私が子供の頃 父は月に一度 気のあった人達と素人の短歌会を催していた 会場は回り持ちのようであったが 我が家がよく使われていた 二つの部屋のふすまを外して 大人達が居並んで何か喋ったり 笑ったりしているのを聞きながら 何が面白いのだろうと 隣の部屋…

錯誤

十数年前 福岡西方沖地震 というのがあった 震度6弱 その時 私は 飛び出そうとする電子レンジを必死に押し戻しながら これは地殻の 何かの間違いではないか と思った この地に体の揺れる地震があるはずがない と 固く信じていたから 体は揺れているのに 地震…

3月生まれ

3月 それも月末の生まれで 少々ソンをしたと思っている 小学1年の時には既に一回り年長の子と同級生だった 頭も体も発達の差があった 出席名簿も生年月日の順であったので なんでも最後になった 身体検査などハダカで待たされた それは小学生で終わったけれど…

家風 その(3)豆腐

見合い結婚をした私が 新婚旅行から帰ってはじめて 夫の実家に泊まった時のこと 朝起きると既に姑は立ち働いていて 御飯と味噌汁ができあがっていた 恐縮して食卓についたとき 汁椀の豆腐は 実家の4倍位の大きさに切ったものだった その時 ああ! 私は生家を…

家風 その(2)  布きれ と 石鹸

嫂が言った 「◯△家の人達(私の実家)はみんな風呂に入ると垢すりをさすね」 (さす)= ‥する,‥ される, しなさる、 なさいます、の九州北部の方言 (‥しなる)=しなさる、の佐賀の方言 (‥しんしゃる)=福岡の方言 私は風呂に入ると必ず 体の垢は指の腹で …

家風

嫂が我が家の一員になった時 私は二十を少し過ぎていた 何年かたって嫂が家族にも馴染んだころ 洩らすように言ったこと とは 嫂は嫁に来たばかりの頃 毎日の食事時は 息が詰まる思いをしたそうだ 二つのちゃぶ台を囲んだ家族は 舅 姑 小姑 あわせて七~八人…

生きる力

誰の手もわずらわせず 新幹線で孫のところへ行ったり 自分の足であちこち歩き回ったり出来るのは 後 5年くらいかと 覚悟している それ以後は 誰かの判断を必要とするか 気の進まぬことにも ウンと言わなければならない事も出でくるだろう 好き勝手が出来るの…