古い日本家屋の冬の寒さは 今では想像出来ないくらいだ
雨戸 ガラス戸 襖をしめても 隙間風は何処からか入って来る
寝る時は 枕元に屏風を立てて寝た
半間二曲の枕屏風で 四寸角くらいの色紙が 散らすように貼ってあった
色紙には雲の絵に みみずがはったような 字が書いてある
雲の色は 赤と群青 灰色と紫 白と青磁色 などで
こんな色の雲など 本物でないと 寝ながらながめていた
ところがこの間 赤と群青の二色の雲を見た。
あの色紙と 同じ色かたち だった
あれは本物を描いたのだと 70年程を経て分かった