バスの 前の席に座っている婦人が さっきから
くしゃみをしている
それも 口元に手を添えるでもなく
広っぱでくしゃみをするように
あたりに 気を使う風もない
幼児が そのまま大人になったような 大人だ
飛沫が降りかかる映像を思い出す
空いた反対側の座席に 立って移る勇気もない
次で降りるバス停までの辛抱だ
広い交差点の信号待ちの長いこと
バス停に着き 急いで立ち上がると
その婦人が 私より素早く前に立って
運転席のカードリーダーに バスの券をかざすと
それがまた不具合で 15秒くらい時間をとる
私が息を止めて 空気を少なく吸っているのを
知るや知らずや