梅雨のころになると 思いだす果物がある
子供の頃 父方の親類の家へ
いとこ達と よく出かけていた
親類は山ふところにあり
途中乗り換えの駅があった
単線の列車待ちの間
駅前に並ぶ行商のおばさんの 天秤の荷の中に
紫色に光る山桃(楊梅) を見つけた時はうれしかった
それぞれに 汁の滴る山桃を新聞紙に包んで貰って
唇を紫に染めて やわらかく甘酸っぱい つぶつぶの実を
一粒ずつ食べるとき の幸せな気持ち・・・
梅雨 と 山桃 と 駅前とは
三点セットになって
私の記憶のなかにある