小路(こみち)のブログ

趣味の絵やその他日々感じたことを綴っています

悔い

私が子供の頃 父は月に一度 

 気のあった人達と素人の短歌会を催していた 

 会場は回り持ちのようであったが

 我が家がよく使われていた 

 

 二つの部屋のふすまを外して 大人達が居並んで何か喋ったり

 笑ったりしているのを聞きながら 

 何が面白いのだろうと 隣の部屋で寝ながら思っていた

 

朝起きて見ると 鴨居には 短歌を書いた半紙が何枚も

 飯粒で貼り付けてあり 風に揺れていた

 

父は何かの冊子に投稿し掲載されたり 

 作りためたものもあったはずだが

 不肖 私は 父の短歌を一首も覚えていない 

 父の歌を見たいとも思わなかった

 

 ただ ひとつ覚えているのは 

 雅号を 桧原古斧(ひのきはら こふ)にした

 と父が言ったことだけだ

 子供心に ひどく古風な名前だと思った

 

父が亡くなって四十数年たつ 

 父がどんな歌を詠んだのだろうと 

 思う歳に 私もなった

 

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