子供の頃 うちには よそ行きの布団 というものがあった
それは 客用というより 医者が往診にきた時
診てもらう家族が 寝る布団だった
他人に見せる布団だ
病気の間は ビロードの掛襟のついた 上等の布団に寝られた
快復すると 元の固い絣のふとんに 戻った
かっての家庭では よそ行きと 普段
ハレ と ケ は はっきり区別されていたようだ
1955年以後 高度成長期にかけて それがくずれ
毎日がお祭りの状態になった
経済的に豊かになり それは幸せなことだ
幸せについて
高校生の時 ある教師が言った。
(幸福には ”豚の幸福” と言うのもある )と。
その前後の ことばは 忘れたが
( ああ 満腹 しあわせ~ ) と思う時
これは ブタの幸福 ではなかろうか
と ひそかに 思うのだ