小路(こみち)のブログ

趣味の絵やその他日々感じたことを綴っています

バナナ

 私達きょうだいは 大人になるまで 

    バナナ  と言うものを 食べさせてもらえなかった。

 

    終戦間近 向かいの家の 3歳になる男の子が

    バナナを食べて 疫痢(えきり)に罹り急死したからだ。 

 

   小児が罹る感染性下痢で 今はほとんど病名も聞かないが。

   食べ物のない時代の貴重なバナナだ 

    傷んでいたのを 食べたのだろうか

   原因はほかにあったかもしれない。

 

しかし 私の母にとっては 4、5日前まで元気に遊んでいた

          幼児の死は   衝撃的だったろう。

以来 母は私達だけでなく 孫が食べるバナナにまで 

          目を光らせるようになった

 「筋をとれ 先端の固いところは食べるな」と うるさい

 

 母が警戒を解いたのは 老健施設に入って おやつに 毎回

         バナナが出てくるようになってからだ

 

         バナナにとっては とんだ濡衣だったかのもしれない。

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