小路(こみち)のブログ

趣味の絵やその他日々感じたことを綴っています

バスの中で

中心街に用があって バスに乗った

 

 途中のバス停で 杖をついた 足元の覚束ない 

  老婦人が乗って来て 前の座席に座った

 

 やがて バスは高速を走りはじめる。

  老婦人がたち上がった  降りると言い出す。

  側に立つ人が なだめながら 何ごとか聞いている。

 

  私も 「何処に行かれるのですか」 と聞いていた。

  

 「区役所のようですよ」 と立つ人が言う。

  バスの行き先番号が違うし 方角が違う

 

  老婦人はしきりに 

 「わたしは この街には 詳しゅぅございます」

  と 周りの言葉が耳に入らぬように 

  何ごとかを 溢れるように喋っている。

  

  横の席の人も加わって この婦人を 

   どうやって 区役所に行かせるか

     思案した。

 身軽そうな人が 「わたしが 地下鉄の駅まで 連れて行きましょう」

   と 言ってくれた。 

   老婦人は握りしめた 千円札でバスを降りた。

 

  私があの老婦人の立場になったら 何と言うだろう。

  「私は 永くこの街に住んでいますので 

    貴方より 街の地理は よく知っています」・・・・・か。

 

   婦人は プライドを傷つけられたのではないかと

     後になって感じた。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 丁寧な暮らしへ