枕
祖母は 時代劇に出てくるような
箱枕を使っていた。
祖母と 箱枕と 昔ばなし は 三点セットだった。
木の箱にのった 茶筒型のスポンジ枕の
独特な匂いのなかで
かちかち山 など聞きながら眠った。
昔の人は よく 首が痛く ならなかったものだ。
結った髪をくずさないため
あの型ができたらしい。
有史以来 時代を通して 使われて来たのは
茶筒型の 括り(くくり)枕のようだ。
素材はその時手に入る 草 竹 藁 何でもあったらしい。
昭和初期の映画や 小津作品には
この型の枕が小道具によく出てくる。
今 寝具のカタログは 様々な枕の花ざかりだ。
私は安価な 自分の手枕で ねるとしよう。