小路(こみち)のブログ

趣味の絵やその他日々感じたことを綴っています

お婆さん

 

区役所の待合所の椅子で

もらったパンフレットを読んでいると

( おばあさん! 受付の人が呼んでいますよ )と

私の肩をたたいた人がいる

   

わたしが かすかに 違和感を覚えたのは 

   その人が私とあまり変わらない年格好だった事と 

   わたしが おばあさん と自覚していないことによる

   感覚のズレによるものだ

 

いつもより背筋を伸ばし 歩幅も大きめに受付に向かったのは 

誰にともなく自分の元気度をアピールしたつもりだったのか…

 

用事を済ませ 立ち寄った手洗いの鏡に映った自分の顔をみて

"   おばあさん "   以外に似合う言葉はないようにも思えた

 

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田舎のバス

親類の法事が故郷のホテルで行われ そこに一泊した

翌朝の 岬にあるホテルから駅迄のバスの乗客は私一人きりだ

まもなく高齢の老人が乗ってきた

運転士と顔見知りか 世間話をはじめた

また一人老人が乗ってくると三人で話はさらに盛り上がっている

  

祖父母や 近所の年寄りが喋っていた 故郷のなまりが

ここでは まだ生きている 

昭和の始めの頃の空気がただよう 

だが 運転士があんなに喋っていていいの?

それに 気がつくと バスは停留所ではない道端で

バスを止めて客を乗せている

止めているのは客の方だが....

森と林と崖と畑地と数戸の家のかたまりの続くこの土地では

乗りたい所で乗り 降りたい所で降りるのが 

許されているのだろう

 

乗る人が増えてきて 街が近づいてきたのを知る

運転士の声は いつの間にかマニュアルどうりの

アクセントにかわっており 

降りる時チラと見たら 鉛の人形のように無表情になっていた

 

 

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行動半径

私の祖母は 同じ町内の二丁目から 一丁目に嫁入って来たそうだ

  祖母が 生まれた県から 外に出た事は 生涯に四回くらいしか

 なかったという。

 一度目は 十四、五の頃 親族と寺社巡りをした時。

 二度目と 三度目は 娘(私の叔母)の結婚で 

 婿殿の勤務地へ  娘を送って行った時。

 そして 戦争で空襲がひどくなり 娘を手元に疎開させる時。

 四度目は 戦後 団体で金剛杖などをついて 寺社参りに行った時。

 

明治大正の頃は 庶民の女が 物見遊山などできる時代ではなかったので 

 生まれた土地から 出た事もなく 一生を終えた女性は多かったのだ。

 

とは言え私も 今年は10キロ 四方しか動き回っていない

 人間の行動範囲は 案外単調なようだ

 

 

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